
私たちの多くは、日々、生産地から遠く離れた地のスーパーや飲食店で肉や野菜、果物といった食品を消費している。常温では傷みやすいこれらの食材の「旅」を支えているのが、冷蔵・冷凍技術である。現代人が当たり前のようにその利を享受する冷蔵・冷凍技術だが、その実現には、先人たちの創意工夫の積み重ねがあった。
原書が米「スミソニアン」誌、英「ニュー・サイエンティスト」誌の年間ベストブックに選出された本書は、冷蔵・冷凍技術や、その技術を用いた、生産地から食卓までのコールドチェーン(低温物流)の歴史を辿り、さまざまなエピソードとともに、「冷蔵・冷凍」の経済、社会への影響や問題点をリポートしている。一般にはあまり知られていないが、今日のフードシステムを確立するのに多大な貢献をした研究者の一人に、開発されたばかりの「冷蔵・冷凍コンテナ」と一緒に船に乗り込み7年間にわたり生鮮商品の最適な輸送方法を探り続けたバーバラ・プラット氏がいる。著者は、英国出身・米国在住のジャーナリスト。食の科学と歴史を考察するポッドキャスト「Gastropod』を共同主催。「ザ・ニューヨーカー」誌などに寄稿している。

