人体で独立して機能する「第二の脳」とは何か
『腸の文化史』
ざわめく腸がすべてを決めてきた
RUMBLES(2024)
エルサ・リチャードソン 著
| 実川 元子 訳
|
太田出版
| 288p
| 3,190円(税込)

第1部 心
第1章 動物にも、そして腸にも知性がある
第2章 腸に棲む悪魔
第3章 腸を手なずける
第2部 労働
第4章 消化システムの働き
第5章 腸と脳の関係
第6章 ランチが変えた腸
第3部 腸と時間
第7章 腸が示す「現在」
第8章 腸が占う未来
第9章 腸は過去に取り残されている?
第4部 腸と政治
第10章 腸と身体政治
第11章 ダイエットと腸の政治学
第12章 腸のジェンダー
おわりに 腸の声を聴け!

「腸内細菌を整える」といった生活習慣の実践を指す「腸活」は、日本では10年ほど前からブームになり、現在ではヘルスケアのさまざまな文脈で用いられるなど、すっかり定着したといえる。腸は「第二の脳」であるといった言説もあり、古代からの世界史の中で謎多き臓器として常に関心を持たれてきた。
原書が英紙「ガーディアン」で2024年度最優秀書籍に選出された本書は、歴史を辿り、心理学や生物学の知見を紹介しながら、人間の認知や精神面、感情に影響を及ぼすとされる「腸」の歴史的な位置づけを紐解いている。空腹時に自分の意思とは関係なくゴロゴロと時に周囲に気づかれるほどの音を鳴らす胃腸は、他の臓器に比べてもその存在が意識されやすい。そのため日本語の「腹の虫がおさまらない」など、世界中の多くの慣用句に使われているという。著者は英国の歴史家。近代イギリスの都市文化と身体の歴史を専門とし、とりわけ「疲れ」「不調」「腸の感覚」といった、誰もが日常で感じる身体の違和感に注目した研究で知られる。
