マーガリン原料が鯨油からパーム油になった理由
『油脂で語る近現代』
クジラとオランウータンをつなぐ糸
赤嶺 淳 著
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平凡社(平凡社新書)
| 280p
| 1,265円(税込)

序章 クジラとオランウータン
第I部 太平洋を拓く──高貴な灯りをもとめて
第一章 漂民の海
第二章 星条旗の翻った海
第三章 ユニオン・ジャックの蠢く海
第II部 南極海を拓く──世界商品化した鯨油をもとめて
第四章 ロシアの東進と南進
第五章 「生命線」としての南氷洋と満洲
第III部 熱帯雨林を拓く──代替油脂をもとめて
第六章 油脂間競争の興亡と帰結
終章 食と環境をつなぐリテラシー

近現代において常に国際政治経済に大きな影響を及ぼしてきた「油(あぶら)」といえば石油を指すが、それ以外の重要な油に「油脂」がある。動物性と植物性があり、バターやマーガリン、ショートニング、食用油などの原料になる。以前は鯨油が主だった油脂だが、近年はパーム油や大豆油が多くなっている。
本書では、鯨油からパーム油への油脂市場の変化を軸に、その近現代史をたどりながらグローバリゼーションや持続可能性(サステナビリティ)のあり方について論じている。マーガリンの原料が鯨油からパーム油に変化したことにより、スマトラ島やボルネオ島にプランテーションが拡大。限りある資源である鯨油から、栽培で増やせるパーム油への移行は経済システムのシフトを伴うものだったが、同時にオランウータンの棲息地を奪うなどの環境問題の原因を作り出している。著者は、一橋大学大学院社会学研究科教授。食と環境の関係のグローバルな視点からの研究を続けている。
