政治経済学の重要概念、政治的トリレンマとは
『グローバリゼーション・パラドクス』
世界経済の未来を決める三つの道
THE GLOBALIZATION PARADOX(2011)
ダニ・ロドリック 著
| 柴山 桂太/大川 良文 訳
|
白水社(白水Uブックス)
| 388p
| 1,980円(税込)

序章 グローバリゼーションの物語を練り直す
第一章 市場と国家について――歴史からみたグローバリゼーション
第二章 第一次グローバリゼーションの興隆と衰退
第三章 なぜ自由貿易論は理解されないのか?
第四章 ブレトンウッズ体制、GATT、そしてWTO――政治の世界における貿易問題
第五章 金融のグローバリゼーションという愚行
第六章 金融の森のハリネズミと狐
第七章 豊かな世界の貧しい国々
第八章 熱帯地域の貿易原理主義
第九章 世界経済の政治的トリレンマ
第十章 グローバル・ガバナンスは実現できるのか? 望ましいのか?
第十一章 資本主義3.0をデザインする
第十二章 健全なグローバリゼーション
終章 大人たちへのお休み前のおとぎ話

イラン攻撃による原油不足に伴うエネルギー高騰やサプライチェーンの混乱など、世界経済は不確実性が常態化している。こうした混乱の根本にはグローバリゼーションの脆弱性が横たわっているとの指摘も多い。今日まで多くの恩恵をもたらしてきたグローバル化を、違う形でアップデートする知見が必要なのではないか。
2011年に原書が刊行された、同名の単行本を新書化した本書は、グローバル経済が抱える根本的な問題について、貿易や金融のグローバル化の歴史を振り返りながら分析している。その上で、グローバリゼーション、民主主義、国家主権(国民的自己決定)の三つを同時に追求することはできず、必ずどれか一つを犠牲にせざるを得ないという「政治的トリレンマ」を説明している。著者の意見は、グローバリゼーションの深化よりも、民主主義と国家主権を優先することだ。著者はプリンストン高等研究所教授などを経て、現在、ハーバード大学ケネディスクール教授。専門は国際経済学、経済成長論、政治経済学。本書でブレグジットやトランプ政権の誕生などの展開を予測したとされる。
