海外書籍・雑誌
発刊 アメリカ 2025.05
10万人を強制移住させた水力発電用のダム建設
『ベトナム少数民族の「日常の政治」』
The Everyday Politics of Resources: Lives and Landscapes in Northwest Vietnam
Contents

 序章 現代ベトナムにおける資源・領域・日常の政治
 第1章 開発の文化政治学
第1部 ダム
 第2章 国家権力と自然の征服
 第3章 ダー川をせき止める
 第4章 主体形成・市場統合・差異化
第2部 ゴム
 第5章 ゴム農園の政治学
 第6章 ゴム労働者と近代的主体の形成
第3部 鉱山
 第7章 採掘の物質性と政治
 第8章 鉱山を生き延びる――周縁化の日常的政治

Introduction
世界屈指のレアアース埋蔵量で世界の関心を集めるベトナム。同国では2000年代の高度経済成長に伴い、大規模な資源開発・インフラ開発が盛んに行われてきた。とくに自然豊かな北西部の山岳地帯には多数のダムが建設され、電力供給や工業化を支える一方で、少数民族を含む住民の移住問題が深刻化している。
米国コーネル大学の出版部門から刊行された未邦訳の本書は、「開発」の名のもとに進められたダム・農園・鉱山開発によって、ベトナムの北西部の少数民族から何が失われていったのかを、20年間のフィールドワークに基づき分析。国家が資源開発を目的に特定の地域を囲い込み管理下に置く「領域化」のプロセス、それが少数民族の地域に根付いた文化や生活を破壊する実態、さらには強制的に移住させられた住民によるしたたかな抵抗を、多数の事例をもとに報告している。著者のガー・ダオ氏はヨーク大学ビジネス・社会論および国際開発学の准教授。