「肝臓がんが光る」現象を外科医が発見した経緯
『変革する手術 「神の手」から「無侵襲」へ』
石沢 武彰 著
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KADOKAWA(角川新書)
| 208p
| 1,034円(税込)

はじめに――手術のパラダイムシフト
第1章 ある外科医の修行時代――世界に誇る「神の手」との出会い
第2章 内視鏡手術が拓く新しい世界――もうひとりの「神の手」
第3章 外科医だってサイエンティスト――蛍光イメージングの小さな革命
第4章 がん征伐、最前線――光とクスリとロボットを従え、メスで挑む
第5章 メスのない未来の手術
おわりに――変革は加速する

人の生命に関わる医療分野では、技術革新が日夜進んでいる。メスを入れ体を切り開く外科治療(手術)も、内視鏡を用いて傷を小さくする「低侵襲」へとシフトしているという。また、がん組織を近赤外線で「光らせ」切除するという画期的な手法も誕生しているようだ。変化の激しい医師の現場とはどのようなものか。
本書では、この四半世紀に起こった手術の大転換を、現役外科医である石沢武彰氏が自らの経歴を振り返りながら語っている。個人の能力や技術、経験で成立する「神の手」の手術(開腹手術)から内視鏡手術、ロボット手術へと至る過程や、血管や組織を光らせる「蛍光イメージング」技術などについて紹介。石沢氏は2008年、肝機能検査薬のインドシアニングリーン(ICG)の特性を活用して、認識するのが難しい胆管を手術中に光らせる「蛍光胆道造影法」を開発した。その研究の際に偶然発見したのが、肝臓がんが「光る」現象であったという。著者の石沢氏は千葉大学医学部卒業後、2000年に東京大学医学部肝胆膵外科に入局し、「神の手」と呼ばれた肝臓手術の権威、幕内雅敏教授に師事。また、パリで腹腔鏡手術の第一人者、ブリス・ガイエ教授にも師事した。現在、大阪公立大学大学院医学研究科肝胆膵外科学教授として、「メスを使わない」新しい外科治療の開発に取り組んでいる。
