
宇宙開発の勢力図が大きく変化している。米国ではスペースXをはじめとする民間企業がNASAと連携し、CNSA(中国国家航天局)は国家プロジェクトとして前のめりに宇宙での覇権を狙う。そんな状況下で、イーロン・マスク氏がかねてから言及する「火星移住」さえも、もはやSFではなくなっている。
本書では、NASAや宇宙起業家たちから最も信頼される宇宙工学の権威が、宇宙開発と技術の進歩の現状を踏まえた「火星植民地化」の具体的なビジョンを明らかにする。火星には、地球と比べるとはるかに薄いものの大気があり、氷河や永久凍土といったかたちで水も存在する。技術文明の発達に欠かせない資源も豊富にあるため、火星は生活するだけでなく、産業やイノベーションを起こし、地球への「輸出」で稼ぐことすらできるという。著者は火星協会の会長。1996年に航空宇宙研究開発企業のパイオニア・アストロノーティクスを設立し、同社を27年にわたり率いた。20件の特許の発明者であり、宇宙探査と技術分野で200件以上の技術論文と非技術系論文を発表している。

