新書・文庫
発刊 2025.12
AIで急拡大する「デジタル嗅覚」市場の可能性
『感覚史入門 なぜプラスチックを「清潔」に感じるのか』
久野 愛 著 | 平凡社(平凡社新書) | 240p | 1,210円(税込)
Contents

第1章 感覚史への扉
第2章 都市空間で感じる「モダン」
第3章 感覚を科学する
第4章 素材が変える感覚
第5章 感覚をデザインする
第6章 感覚体験の商品化
第7章 ヴァーチャルな感覚と身体
第8章 感覚の政治性

Introduction
私たちは「感覚」を個人的で主観的なものだと考えがちだ。他者がどのように感じているかをダイレクトに知る術はない。けれども感じ方には共通する歴史的な、あるいは社会的な土台があるという。言い換えれば、感覚とは純粋に個人の身体的反応から生まれるものではなく、環境に「つくられた」面もあるということだ。
本書では、感覚の変化を時代背景や社会状況などから分析・研究する「感覚史」の考え方を説明しつつ、主に19世紀末以降の資本主義システムの拡大により人々の感覚がどのように変化したかをたどっている。20世紀初頭に登場した透明フィルム(セロハン)やタッパーウェアに使われたプラスチックといった新素材が、「滑らか」「清潔」といった感覚を強調することで、これまでになかった感覚世界を人々に喚起させたことなどを紹介している。著者は感覚史、技術史、経営史を専門とする歴史学者。東京大学大学院情報学環准教授、東京大学卓越研究員。著書に『視覚化する味覚──食を彩る資本主義』(岩波新書)などがある。