アフリカに遠隔診療モデルを広めたインドの思惑
『インド発「パン・アフリカeネットワーク」はなぜ“失敗”したのか』
遠隔医療は誰の命を救うか
Life at a Distance: Medicine and Nationalism in India’s Pan-African e-Network
Vincent Duclos 著
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Cornell University Press
| 240p

1.輝かしい模範
2.空中からの医療
3.ケアの群島
4.投機の帝国
5.地図と領域

2009年にインドが始めた、アフリカ諸国を対象とする遠隔医療・教育プロジェクト「パン・アフリカeネットワーク・プロジェクト(PAN)」。インド政府が費用の全額を負担、12のインド主要病院とアフリカ30カ国以上の医療機関をネットワークで結んだ、アフリカ大陸で最大規模の遠隔医療プロジェクトである。
米国コーネル大学の出版部門から刊行された未邦訳の本書では、インド政府主導のPANについて、その意義や実態、政治的企図などを詳細に分析。インドとアフリカ諸国を結ぶ通信インフラの整備が、単なる医療支援にとどまらず、南南協力の象徴としてインドの国際的地位向上や国威発揚と深く結びついていた点に注目している。PANは、アフリカ諸国のインド在外公館などの説明によれば2017年に「成功裡に終了」したが、実際にはアフリカ諸国にとって有効な医療インフラにはなり得なかったようだ。著者のヴァンサン・デュクロス氏はケベック大学モントリオール校の准教授。グローバル資本主義、デジタル技術、医療をテーマに民族誌的研究を行っている。
