
中国の主要産業の一つに「鉄鋼業」がある。粗鋼の生産規模は突出して世界一であり、2024年には第3位の日本の約12倍の生産量を誇っている。「国家主導」「過剰生産」「環境問題」などのキーワードでステレオタイプに語られがちな中国鉄鋼業だが、この約20年の間に、複雑かつ多様な構造的変動があったようだ。
本書では、21世紀以降の中国鉄鋼業における、生産システムや企業類型、政府の産業政策の影響などの変動について、多彩なデータをもとに分析しながら論じている。現在の中国鉄鋼業は、少数の巨大企業と数千社の中小規模メーカーが共存するという、2社の巨大企業に高度に集約されている日本の鉄鋼業とは対照的な構造的特徴があるという。著者は同志社大学商学部助教。博士(経済学)。中国湖南省邵陽市生まれ、東北大学大学院経済学研究科の博士研究員を経て現職。

