多様な能力の人材を育てるはずだった法科大学院
『弁護士不足』
日本を支える法的インフラの危機
内田 貴 編著
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筑摩書房(ちくま新書)
| 272p
| 1,056円(税込)

はしがき 内田貴
第1章 「弁護士不足」とはどういうことか 内田貴
第2章 法曹養成改革のタテマエと現実 髙畑正子/山田重則
第3章 弁護士ができる仕事、弁護士という人材 冨山和彦/貝沼由久/元榮太一郎/榊原美紀/松本三加/阿達雅志
おわりに──待ったなしの司法人材改革 久保利英明

テクノロジーの進展やグローバル化の進行により激変する社会の中で、「法」の持つ意味が重みを増している。高度な法的知識を有し、一般市民や企業に法的サービスを提供する役割を担うのが弁護士である。法治国家におけるインフラの要とも言えるが、近年ではその志望者が激減しているという。背景には何があるのか。
本書では、様々な分野で活躍する弁護士らが、「弁護士が足りない」という現状に強い危機感を示し、問題点を指摘している。加えて、弁護士がより広く活躍するための提言を行っている。例えば2004年から始まった法科大学院(ロースクール)の設立は本来、法学以外の様々な知識・経験を有する人材を確保し、弁護士の数や多様性を確保することが目的だったが、制度設計の失敗によりそれは果たされなかったという。また、AIとの協働で弁護士の生産性が上がるリーガルテックの動きも紹介している。編著者の内田貴氏は東京大学名誉教授、弁護士。博士(法学)。専門は民法学。10名の著者のうち、ダイジェストで取り上げた髙畑正子氏は株式会社Exponential Design ジェネラル・カウンセル、弁護士。山田重則氏は弁護士。元榮太一郎氏は弁護士ドットコム株式会社代表取締役社長兼CEO、弁護士法人Authense法律事務所代表弁護士。
