書籍
発刊 2025.08
バングラデシュ政府が「出稼ぎ」を推奨する理由
『バングラデシュ社会と移住』
人の動きから描く国家像
高田 峰夫 著 | 日本評論社 | 232p | 5,280円(税込)
Contents

序論 バングラデシュの国際移住――少し長めの回想
第1章 歴史を遡って――前史
第2章 周辺地域への移動
第3章 遠距離移動――現代に続く動き
第4章 グローバル化と共に世界中へ

Introduction
南アジアの一国バングラデシュが、後発開発途上国(LDC)のステータスから卒業することが、2021年に国連総会で決議された。インドやミャンマーとの間に長い国境を有する同国は、「移住・移民」が国家運営の重要な要素になってきた。経済成長は、そうした「人の動き」にどんな影響を及ぼすのだろうか。
本書では、バングラデシュにおけるボーダーランド(広義の国境地帯)、また中東への「出稼ぎ」、さらに欧米などの先進国への人の留学や移住に着目し、実地調査の結果等をもとに、その実態について論じている。ボーダーランドでの移住・移民は、隣国との間にさまざまな問題を引き起こし、今も課題を抱える。一方で近年では、農村からの「出稼ぎ」を政府が推奨、さらに先進国への医療ツーリズム、高等教育のための留学が盛んになる傾向があるようだ。著者は広島修道大学人文学部教授。1988年より2年間、青年海外協力隊(現JICA海外協力隊)から派遣され、バングラデシュで活動。以後、同国を中心に調査・研究を続けている。