
生産性向上や人材流動化、Z世代の価値観への対応などから、従業員エンゲージメントの強化や、そのためのウエルビーイング向上が、多くの企業で取り組まれている。職場の環境整備や、個人の働きやすさへの配慮、メンター制度や1on1などが行われているが、より重要な視点として「人と人のつながり」があるようだ。
本書では、膨大なデータの解析から導き出された、生産性も従業員の幸福度も高い組織をつくるためのカギとなる、人的ネットワークの「形」と、その組織や社会への影響について詳細に解説している。著者の研究チームは、オリジナルの赤外線通信機能とセンサを備えたウエアラブルデバイスで測定した、1兆個を超えるデータの解析により、人間の幸せ・不幸せを決定づける重要な要素「ファクターX」を発見。その論文は2020年、権威ある英国の科学論文誌である「Nature/Scientific Reports」に発表された。ファクターXとは、「V字」と「三角形」の違いである。著者は、株式会社日立製作所フェロー、株式会社ハピネスプラネット代表取締役CEO。データを活用した人間や組織研究とそのためのウエアラブル技術のパイオニアとして論文被引用件数は4,500件、特許出願350件を超える。著書に『データの見えざる手』『予測不能の時代』(ともに草思社)などがある。

