

2019年に発生し、歴史的なパンデミックを引き起こした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。その日本での流行は「コロナ禍」と呼ばれ、人々の活動自粛などにより社会経済に深い爪痕を残したのは周知の通りだ。5年以上が経過した今、政府が主導した対策の検証は、まだ完全には行われていないようだ。

本書では、コロナ禍における日本の政策対応を、経済学やEBPM(根拠に基づく政策形成)の視点から考察。著者はまず、第I部「EBPMの視点」(第1章~第4章)で、当初の政策であった「接触8割削減」の根拠となった、専門家による「感染症数理モデル」を検証する。そして、第II部「経済学の視点」(第5章~第8章)では、対策の費用対効果や人々の行動変容などの観点から日本におけるコロナ対策を科学的に分析している。ダイジェストでは、主にコロナ対策による人々の行動分析の箇所を取り上げた。著者は東京大学大学院経済学研究科教授・公共政策大学院教授。京都大学経済研究所助教授、一橋大学大学院経済学研究科教授等を経て2005年より現職。日本学術会議会員、国立国会図書館専門調査員、日本経済学会理事、日本財政学会常任理事、医療経済学会理事、同会長等を歴任した。