
鉄筋コンクリートと「骨」の意外な共通点とは
『硬くて柔らかい「複雑系」 骨のふしぎ』
からだを支えるだけでない、知られざるはたらき
石井 優 著
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講談社(ブルーバックス)
| 208p
| 1,100円(税込)


1.骨は体を支える“柱”――その構造と支持組織としての機能
2.「見えない骨」を見る科学――化石から最新技術まで
3.骨の動的平衡――“創造と破壊”の繰り返し
4.骨は全身機能を制御する――内分泌・代謝組織としての骨
5.骨は免疫細胞のゆりかご――免疫組織としての骨・骨髄
6.骨は秘密の隠れ家――がんと骨
エピローグ 骨はつくることができるのか


誰もが体の中に備える「骨」。身近な存在ではあるものの、目にする機会は少なく、不調をきたさない限り日常で意識することもあまりない。この骨の構造や働き、役割には、実は、意外に知られていないことが多いようだ。最先端の技術を使った観察からわかってきた、骨の「動的」な姿とはどのようなものだろうか。

本書は、鉄筋コンクリートにも似た構造や、硬いだけではなく衝撃を緩和する「しなやかさ」を備えていることなど、骨にまつわる驚きの事実を、最新の研究成果を踏まえて解説する。骨は「不動」なものであると考えがちだが、実は、つねに破壊されつつ、つくられており、「動的平衡状態」が維持されているという。また、骨の中にある骨髄には多種多様な細胞が存在しており、骨髄腔と呼ばれる空間には、免疫細胞を保存する「図書館」のような役割があるという有力な説も紹介する。著者は大阪大学大学院医学系研究科/生命機能研究科・免疫細胞生物学教室教授(2013年から)。2025年からは同大学大学院医学系研究科長・医学部長も務める。専門は免疫学・骨代謝学。