

2005年から、2021年に退陣し政界を引退するまで、16年にわたりドイツ連邦首相を務め、内政や外交で数々の功績を残したアンゲラ・メルケル氏。東西ドイツ分裂後の東ドイツ(ドイツ民主共和国)で育ち、物理化学研究所の研究員だった同氏は、なぜ政治の道を選び、再統一後のドイツ連邦首相まで上りつめたのか。

本書は、メルケル元独首相が自らの生い立ちと政治家としての活躍など、67年にわたる半生を語る壮大な回顧録。上巻では1954年の誕生から、2005年から首相として第1期を務めるまでを振り返っている。ダイジェストでは、1954年7月17日から1989年11月9日までを語る第1部(p14~p121)と、1989年11月10日から1990年12月2日までのエピソードからなる第2部(p124~p178)の中から一部を抜粋、再構成。東ドイツの不自由な環境で教育を受け、研究者として活動するも、ドイツが統一に向けて動き出す機運に共鳴し、政治家としてのキャリアを歩み始めるまでを取り上げた。上巻では第4部で、連邦首相としてドイツのハイリゲンダムで行われたG8サミットで各国のトップをまとめるまでが語られている。著者のメルケル氏は、物理学で博士号を取得した後、1990年にドイツ連邦議会入りを果たす。女性および青少年問題担当大臣、環境・自然保護・原子力安全担当大臣などを経て、2000年から2018年までキリスト教民主同盟(CDU)党首を務めた。