

生成AIのさまざまなビジネスへの活用など社会実装が進む一方で、企業や組織間の技術開発競争も激化している。チャットGPTを筆頭とする米国発の生成AIが先行し、主流になりつつある中、突如登場した中国製の生成AIが、その高性能とコストパフォーマンスで注目を集めた。ディープシーク(DeepSeek)である。

本書では、世界を驚かせたディープシークの新しさ、とくに「分散型AI」「オープンソースAI」といった特徴について解説しつつ、AIとAI関連技術をめぐる東西覇権争いの潮流を読み解き、その中で日本がとるべき立ち位置や戦略を提言している。2024年末から2025年にかけてAI業界を震撼させたディープシーク(R1)は、無料版であっても、最高性能と言われていたチャットGPTの有料版(o1)に匹敵するほどの性能を発揮。数式処理やプログラミング関連の専門性の高い分野では、時にチャットGPTよりも適切なアウトプットを示すという。著者は、ソフトバンクでAIエンジニアとして活躍後、アクセンチュアに転職。同社でAIなどを活用した資料の作成や要件整理を行った経験などを活かし、株式会社pilandを設立。ウズベキスタンでの事業を展開させるなど、国内外で活躍の場を広げている。