

アメリカ東部時間の2025年1月20日にドナルド・トランプ氏が第47代アメリカ大統領に就任して以来、その政策決定や言動に世界は振り回され続けている。彼を2度目となる大統領職に押し上げたアメリカ国民の間には、「冷たい内戦」とまで呼ばれる深刻な分断が続く。世界の信望を失いつつある超大国はどこに向かうのか。

本書は、2021年4月からワシントンに赴任し、4年にわたり現地取材を続けた日本経済新聞記者が、トランプ大統領による政治について、政治家、一般市民などの生の声を丹念に拾いつつ現状を考察したルポルタージュ。トランプ政権下のアメリカは、国内の分断を背景に極端な自国第一主義を貫き、予想もつかない施策を打ち出すことで、これまで培った民主主義や法の支配、人権、自由といった普遍的な価値と、リベラルな国際秩序を主導する盟主としてのブランドを大きく毀損した「信望なき大国」となっているようだ。著者は日本経済新聞社米州総局長。日本経済新聞社で財務省や厚生労働省、経済産業省、日銀などの経済・金融政策を長年取材した後、2012年から4年間、北京で取材活動を行い、重慶支局長も兼ねる。2021年4月にワシントン赴任、翌年ワシントン支局長、2025年4月より現職。