
ドイツの「産業政策」への転換はなぜ起こったか
『米中欧の「テクノロジー戦争」』
Der Tech-Krieg: China gegen USA - Und wo bleibt Europa?
Wolfgang Hirn 著
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Campus Verlag
| 275p


1.ハイテク戦争―戦況
2.AI―データを活用したアクション
3.チップ―中国の弱点
4.デジタル化―乗り遅れた接続
5.量子テクノロジー―前に進む大きな跳躍
6.エネルギーと交通―ホットなプラン
7.バイオテクノロジーと医療―ドクター・ビッグデータ
8.宇宙旅行―全能の幻想
9.特許とスタンダード―現代の書類の戦争
10.才能―賢い頭脳を巡るグローバルな争奪戦
11.軍事―前線に殺人ロボット
12.産業政策―国家(政府)のルネサンス


今では世界の二大国とみなされる米国と中国の間で、経済安全保障や技術覇権をめぐる対立が激化している。半導体をはじめとする先端技術に関わる分野では関税政策や輸出規制などの手段が用いられており、冷戦はしばらく続く見込みだ。このような状況下で、欧州はどのような立ち位置を取ることが必要なのか。

ドイツで刊行された未邦訳の本書では、テクノロジーやIT企業の市場支配において米中の後塵を拝する欧州やドイツが、技術的に優位に立つためにとるべき方策、方向性を示している。最終的には、EUや各国政府が人材と資本に大規模な投資を行い、先端テクノロジーの市場投入までを支援する、といった産業政策を打ち出し、実践すべきだと著者は主張する。著者のヴォルフガング・ヒルン氏はジャーナリスト。ビジネス編集者を経て、ドイツを代表する経済誌「Manager Magazin」の記者を長年務める。1986年から定期的に中国を訪れ、中国に関する著書が複数ある。