
先鋭的な「全翼機」開発はなぜ成功しなかったか
『米国空軍における戦闘機開発「失敗」の歩み』
Air Force Disappointments, Mistakes, and Failures: 1940-1990
Kenneth P. Werrell 著
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Texas A&M University Press
| 312p


1.護衛爆撃機
2.バックアップ
3.AAFが望まなかったダイブボンバー
4.自動車メーカーの飛行機
5.プッシャープロペラ機
6.大きなものと小さなもの
7.プロペラからジェットへ
8.ノースロップのフライングウィング
9.プロペラからジェットへの変換
10.ユニークな推進システム
11.原子力航空機
12.ユニークな発射方法
13.超音速爆撃機
14.論争の的となった航空機
15.マッハ3爆撃機
16.夢の爆撃機
17.ジェットホットロッド
18.輸送機
19.第二次世界大戦の巡航ミサイル
20.大陸間巡航ミサイル
21.スタンドオフミサイル
22.国際的論争
23.移動式ICBM
24.アメリカの地対空ミサイル
25.ヒューズの失敗した空対空ミサイル
26.電子戦の戦場


欧州航空機大手エアバスが水素を燃料とする完全電動型航空機の構想を発表した。こうした航空分野における技術開発は大きな関心を集める。しかし、成功すれば華々しく評価される一方、失敗したり期待通りの成果が出なかったプロジェクトの経緯は、ほとんど精査されない。だが、失敗から学べることも大きいのではないか。

米国で刊行された未邦訳の本書は、米国空軍が1940年代から1990年代までに経験した「失敗したプロジェクト」に焦点を当てた書。時期ごとに重要な航空機(爆撃機、戦闘機、輸送機含む)やミサイルなどを取り上げ、実際に開発や試験が進められたものの、政治的・技術的・組織的理由により失敗や中断に終わったプロジェクトについて詳細に分析している。空軍の成功だけでなく失敗にも目を向けることで、軍事技術や組織運営における意思決定や技術開発のあり方に示唆があることを伝えている。著者のケネス・P・ウェレル氏は元米国空軍パイロット、歴史学教授。米国空軍の歴史に関する著書が複数ある。