

ウォーレン・バフェット氏は数年前から日本の総合商社に注目し、大手5社に大規模な投資を行っている。その5社の中でも勢いが目立つのが伊藤忠商事だ。純利益では三菱商事、三井物産に及ばないものの、2025年2月の時価総額では業界トップ。就職人気ランキングでも上位の常連である。同社の強さはどこから来るのか。

本書では、伊藤忠商事の現会長兼CEOを務める岡藤正広氏を中心に、2021年から社長COOを務める石井敬太氏など要人の言葉を集約。そこから、伊藤忠ならではの「商売」「ビジネス」における考え方や戦略のエッセンスを導き出している。伊藤忠のルーツには近江商人の「三方よし」という考え方がある。「売り手や買い手だけでなく、世間にもよい」という意味がよく知られているが、岡藤氏の実践してきた軌跡からは少し違う意味が見出だせるようだ。著者はノンフィクション作家。著書に『サービスの達人たち』『トヨタ 現場の「オヤジ」たち』(共に新潮社)、『警察庁長官』(朝日新書)、『スバル』『海を渡った7人の侍』(共にプレジデント社)など多数。