
実験器具を作り科学の礎を築いた17世紀の哲学者
『ロバート・フックの「実験哲学」』
Robert Hooke’s Experimental Philosophy
Felicity Henderson 著
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Reaktion Books
| 184p


序 狂っている、愚かだ、幻想的だ
1.自然哲学の現在の欠陥
2.世界のあらゆる騒音とビジネスが集まる街
3.すべての友人に多くの愛と奉仕を
4.私の貧しい労働
5.機械に強い男
6.好奇心と美
7.自然の優れたシステム
8.地震についての一考察
エピローグ 時の歯


17世紀に活躍し、現在の科学に通じる「実験哲学」を提唱したのがロバート・フック(1635-1703)である。今日知られる功績としては、ばねの弾性に関する物理法則である「フックの法則」や細胞構造の発見などがあるが、多分野に精通した「万能の科学者」だったようだ。また、実験器具を発明・改良する技術者としての顔もあった。

英国で刊行された未邦訳の本書は、ロバート・フックの生涯をたどる評伝。同時代に生きたアイザック・ニュートンなどと比べると一般的な知名度が高いとは言えないフックの、研究生活や非凡さ、科学に対する真摯な姿勢などを明らかにしている。フックはあらゆる身近な自然の現象から、人間に有用な発見を導き出そうとした。正確な実験や観察を行うための器具を作製、研究に活用したことから、現代的な科学的方法の確立者でもあった。著者のフェリシティ・ヘンダーソン氏はエクセター大学の古文書と考古資料の上級講師。ロバート・フックと初期の王立協会について幅広く研究を行っている。