

テクノロジーの進歩や、ニーズの多様化などを背景に、「金融業界」が大きく変わろうとしている。とくに近年、驚きをもって受け止められているのが、アップルをはじめとする他業種の金融サービスへの参入だ。なかでも注目されるのは、既存のサービスに金融が組込まれる「エンベデッドファイナンス」である。

本書では、非金融事業者が自らのサービスに金融サービスを組込んで提供するエンベデッドファイナンスについて、多数の事例を紹介、分析しながら「新しい金融サービス」のあり方を探っている。国内ではJR東日本の銀行サービスなどで耳目を集めたエンベデッドファイナンスだが、金融業界専門のリサーチ会社であるJuniper Researchのレポートによると、全世界の市場規模は2024年時点で920億ドルに達しており、2028年にはおよそ2.5倍の2280億ドルに拡大すると予測されている。著者はFinatextホールディングス取締役CFO。2010年よりUBSの投資銀行本部においてIPOやグローバルM&Aのアドバイザリー業務に従事し、2016年から現職。証券ビジネスプラットフォームを提供するスマートプラス、組込型融資を提供するスマートプラスクレジットの立上げなどを牽引した。