

少子高齢化や人口減少といった社会課題を背景に、地域コミュニティの衰退が指摘される。コミュニティを活性化し、地域の生活を豊かで愉しいものにしていくためにはどうしたらいいのだろうか。チェーン店の誘致などのありきたりな策に頼らない、「面識経済」と呼ばれる経済活動にヒントがありそうだ。

本書では、コミュニティデザイナーである著者が、アダム・スミスら過去の偉人の経済思想をたどりつつ、現在のコミュニティに求められる経済活動の在り方を探っている。「面識経済」とは、面識関係にある人の間で行われる経済活動を指す。取り引きする相手が見えない「グローバル経済」とは異なり、「顔が見える」ことによって、感謝を伝えたり、商品についての感想を共有するといった、貨幣や数値以外の価値のやりとりが生まれるほか、地域で使われるお金を増やすことにもつながるようだ。著者はstudio-L代表。関西学院大学建築学部教授。コミュニティデザイナー。社会福祉士。建築・ランドスケープ設計事務所を経て、2005年にstudio-Lを設立。まちづくりのワークショップ、住民参加型の総合計画づくり、市民参加型のパークマネジメントなどのプロジェクトに携わる。