
「短命」で「脱物質的」な現代の消費傾向の背景
『リキッド消費とは何か』


1.堅固なものの溶解――リキッド・モダニティとは何か
2.消費が液状化する――リキッド消費とは何か
3.ソリッドからリキッドへ――消費スタイルの広がりと省力化
4.消費生活はどう変わるのか――4つの消費と調査データから考える
5.リキッド消費の実態を知る――定量データを用いた分析(1)
6.リキッド・クラスターの価値観を知る――定量データを用いた分析(2)
7.若者たちのリキッド消費――定性データを用いた分析
8.私たちはどうすれば良いのか――より良い世界を実現するために


現代の消費スタイルに、大きな変化が起きている。多くの人が、映画や音楽をサブスクリプションサービスで楽しむようになった。自動車を所有せずカーシェアサービスを利用する若者も多い。こうした今どきの消費行動への理解を進めるために、「リキッド消費」というコンセプトがヒントになりそうだ。

本書は、2017年にイギリスの研究者らによって提唱された「リキッド消費」について解説し、現代の人々の消費行動が、なぜ、どのように引き起こされているのかを示す。リキッド消費は、「液状化した消費」を意味し、「短命」「アクセス・ベース」「脱物質的」と定義されるが、著者はこれらに、それらを支える「省力化」という要素を加えることを提案する。リキッド消費に関連する「気ままな消費」には、時間や労力の少ない「手軽さ」が求められるが、その実現を「省力化」が支えているという。著者は青山学院大学経営学部教授。専門はマーケティング。明治学院大学経済学部卒業後、サンリオを経て早稲田大学大学院商学研究科に進学し、博士課程単位取得。『ブランド・リレーションシップ』など著書多数。