
旅行スタイル多様化で求められる情報発信の充実
『観光“未”立国~ニッポンの現状~』
永谷 亜矢子 著
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扶桑社(扶桑社新書)
| 216p
| 990円(税込)


1.観光業界は本当に稼げているのか
2.観光行政の慣習は変わらないのか
3.観光産業の当事者が今すぐ取り入れるべき7つの処方箋
4.誰が「真の観光立国」の担い手になるのか?


2024年の訪日外国人(インバウンド)の数は、約3687万人と過去最高を記録した。しかし、観光業界が潤っているかといえば、そうではないようだ。収益力の低さに加え、オーバーツーリズム、伝統工芸の担い手不足など、課題は山積している。どうすればこれらを克服し、持続可能な「観光立国」となれるのだろうか。

本書は、観光業界が直面する問題を、「情報発信」「マネタイズ」「担い手不足」「観光行政の慣習」などのテーマに沿って列挙。著者自身が携わってきた事例を取り上げながら、観光産業の当事者への「処方箋」を示す。熊本県阿蘇市では、観光協会サイトをリニューアルし、歴史や文化を伝える内容にするといった工夫で地域への理解を促し、同時にサイト来訪者数を伸ばした。また、福岡県広川町の工房では、伝統工芸の体験プログラムで作るものを「ハンカチ」から「アート作品」に変えることで高収益化に成功したという。著者は、立教大学経営学部客員教授。リクルート、吉本興業などを経て2016年に株式会社anを設立し、企業や官公庁へのマーケティング、PRコンサルタントなどを手がける。2019年からナイトタイムエコノミー推進協議会理事。