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発刊 カナダ 2020.09
滝の景観保護と発電利用を両立させる人為的改変
『ナイアガラの滝の「修正」』
新たな価値を背負う、世界でもっとも有名な滝
Fixing Niagara Falls: Environment, Energy, and Engineers at the World’s Most Famous Waterfall
Contents

序文 象徴的な滝、作られた景観、そして魅惑的な可能性
序論 ナイアガラの特徴を捉える
1.ナイアガラの活用:20世紀までの発展
2.ナイアガラを救う:20世紀初頭の革新と変化
3.ナイアガラの交渉:環境外交と1950年の条約
4.ナイアガラの活用:水の分流と発電所
5.ナイアガラの偽装:ホースシュー滝の水景
6.ナイアガラの保全:米国滝キャンペーン
結論 ナイアガラをつくり上げる

Introduction
米国とカナダの国境に位置し、世界三大瀑布の一つに数えられるナイアガラの滝。自然の驚異が味わえる観光地としても名高いが、19世紀末から豊富な水量の発電利用が進み、北米の主要な電力供給源となっている。滝では、発電のための開発と景観保護を両立する観点から、これまでにさまざまな人工的な「修正」が行われてきた。
カナダにあるブリティッシュコロンビア大学の出版部門から刊行された未邦訳の本書では、ナイアガラの滝における「修正」の経緯を、技術的、文化的および政治的な側面から解説する。米国とカナダはナイアガラ川から発電する電力を最大化する方法を模索しながら、滝を「保存」する取り組みを並行して行ってきた。両国の模索は1950年の「ナイアガラ分流条約」締結につながり、ナイアガラ川を流れる水の多くを発電利用することを可能にしたという。著者のダニエル・マクファーレン氏はウェスタンミシガン大学の環境・持続可能性研究所の准教授。トロント大学のビル・グラハム現代国際歴史センターの上級研究員であり、国際水歴史協会の会長も務める。