
京王電鉄が「大東急」と合併・分離独立した経緯
『謎とフシギの京王電鉄』
関東屈指の“個性派鉄道”を読む
松本 典久 著
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交通新聞社(交通新聞社新書)
| 256p
| 1,100円(税込)


1.甲州街道を走る路面電車で創業~複雑な歴史
2.貴賓車から京王ライナーまで~車両は多彩
3.砂利輸送と市電直通~意外な運転歴
4.京王の駅、その意外な生い立ち
5.私の沿線散歩~京王にハマる、とっておきスポットへ


新宿と八王子・橋本を結ぶ路線を主線とし、多摩地域など東京都西部と神奈川県北部に84.7キロの路線網を広げる京王電鉄。井の頭線、相模原線、高尾線含めて一日約160万人(2023年度)の足となっている。首都圏交通の大動脈の役割を担う大手私鉄の一つだが、その歴史を繙くと「個性派」というべき特徴が見えてくるという。

本書では、京王電鉄の歩みを辿りながら、今日に至るまでの複雑な経緯を説明する。明治末期から大正初期にかけて、東京と多摩地域の繁栄をめざして計画された京王電鉄は、路面電車として運行を開始。戦時下の「大東急」との合併・分離独立、相模原線の開業といった転換点を経て、独自の地位を獲得していったという。さらに、京王線が1,372ミリという特殊なレール間隔を使用していることや、相模原線の前身が砂利運搬線だったことなど興味深い逸話も紹介している。著者はフリーランスの鉄道ジャーナリスト。鉄道や旅を主なテーマとして執筆しており、鉄道や鉄道模型に関する書籍やムックなど、多数の著書・編著書がある。