新書・文庫
発刊 2025.01
消費社会に対抗する「楽しむこと」の哲学的考察
『手段からの解放』
シリーズ哲学講話
國分 功一郎 著 | 新潮社(新潮新書) | 208p | 968円(税込)
Contents

はじめに――楽しむことについての哲学的探究
1.享受の快――カント、嗜好品、依存症
2.手段化する現代社会
おわりに――経験と習慣

Introduction
資本主義の発展とともに現出した「消費社会」は、人々の価値観を大きく変えた。ある目的を達成するための「手段」としての消費が盛んになり、純粋に「楽しむ」ための消費が減ってきているようだ。たとえば健康に役立つ食品が好まれ、嗜好品が忌避されるような傾向だ。そのことが、社会にどんな問題をもたらすのか。
本書では、ベストセラーとなった『暇と退屈の倫理学』(新潮文庫)などの著書がある哲学者、國分功一郎氏が「楽しむこと」について、哲学者カントの議論を辿りながら論じている。問題として指摘されているのは、物事の「手段化」。純粋に、五感を使って「楽しむ」のではなく、何かの目的を果たすための手段として使用する。「手段」から解放され、「嗜好」の価値を高めることが、現代社会の歪みを和らげることにつながるのだという。著者の國分氏は、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は哲学。著書に『暇と退屈の倫理学』のほか『中動態の世界 意志と責任の考古学』(医学書院)、『目的への抵抗』(新潮新書)などがある。なお、ダイジェストでは、東京大学での講話をもとにした第2章を取り上げた。