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発刊 アメリカ 2024.12
ベンガルールのIT産業発展の裏で起きていること
『インド「スタートアップ資本主義」とカースト&ジェンダーの伝統』
Experimental Times: Startup Capitalism and Feminist Futures in India
Contents

1.行動様式としての労働:テクノ資本主義の場と時間を探索する
2.性差意識のある大衆:スタートアップ都市から振り返ってみる
3.起業家をつくり出す:価値の具体化と価値の性差化
4.オフィス:起業の高揚から具体化した疲労まで
5.職場の家族関係における愛:ケアの仕組み
6.未来をテストする:日々の生活におけるさまざまな実験

Introduction
IT産業が発展し「インドのシリコンバレー」と呼ばれるベンガルール。1990年代に欧米企業のアウトソーシング先となるIT拠点として注目され、その後イノベーション都市として発展した。未来を描く都市のようにもみえるが、インド伝統の、カースト制度に基づく差別やジェンダー意識は、根強く残っているようだ。
米国カリフォルニア大学の出版部門から刊行された未邦訳の本書では、インドのIT産業におけるスタートアップの隆盛と、長らくインド社会に浸透したカースト制度や女性差別の伝統との関係を分析。ベンガルールの成功は、リスクを冒して起業すべきだとする「スタートアップ資本主義」を生んだ。その中では、テクノロジー労働こそイノベーティブであり、階級を乗り超える手立てであるというメッセージが送られているが、現実には保守的な差別的構造が別のかたちで再生産されていると指摘する。著者のヘマンゲニ・グプタ氏は、エジンバラ大学ジェンダー・グローバル・ポリティクス講師、GENDER.ED副所長。