

気候変動対策や生物多様性の取り組みが進むなど、人類は今「自然との共存」を深く考慮した活動を求められているといえる。持続可能かつ真に公正な世界を実現するために、避けては通れないのが、50年前にピーター・シンガー氏が提起した「人間は動物に対しどのような倫理的責任を負うか」という議論である。

本書は、1975年に初版が刊行され、その後の動物解放運動、動物福祉の原点にもなった名著『動物の解放(原題:Animal Liberation)』の2度目の全面改訂版。動物実験や工場式畜産などで動物たちが過度の苦しみを与えられているとし、その現状を具体例を挙げながら指摘、人間以外の動物も含めた「平等」を実現するための議論と実践を説く。今回の改訂では、最新のデータや議論、気候変動や新型ウイルスなどのトピックスを織り込み、本文の3分の2を書き換えているという。著者はオーストラリア出身の哲学者でプリンストン大学教授。専門は応用倫理学。動物の解放や極度の貧困状態にある人々への支援を提唱する代表的な論者の一人である。