

「暗号通貨」から多くの人が連想するのは、その嚆矢であるビットコインだろう。だが今日、暗号通貨はビットコイン以外にも多様に登場している。その中でも、存在感が大きいのが、ビットコインに次ぐ時価総額を誇る「イーサリアム」だ。どのように立ち上がり、荒波を乗り越えてきたのか。

本書は、イーサリアムの誕生から、内部抗争、ハッキング事件など、暗号通貨革命の知られざる舞台裏を、数多くの関係者へのインタビューや膨大な資料をもとに描き出すノンフィクション。暗号通貨イーサリアムは、「早熟な天才」と呼ばれたヴィタニック・ブテリンのアイデアに、世界各地の開発者や起業家が呼応して形成されたコミュニティーによって創設された。その運営組織やリーダーシップをめぐり、当初から激しい議論と対立があったようだ。なお、本書では2021年までのエピソードを紹介しているが、ダイジェストでは2014年7月のイーサリアム財団設立までを取り上げた。著者はジャーナリスト、暗号通貨ニュースサイト「Unchained」創設者にしてCEO。フォーブス誌の元シニアエディターでもある。