
人々の孤独を癒すのに「共同体」が適さない理由
『庭の話』


#1 プラットフォームから「庭」へ
#2 「動いている庭」と多自然ガーデニング
#3 「庭」の条件
#4 「ムジナの庭」と事物のコレクティフ
#5 ケアから民藝へ、民藝からパターン・ランゲージへ
#6 「浪費」から「制作」へ
#7 すでに回復されている「中動態の世界」
#8 「家」から「庭」へ
#9 孤独について
#10 コモンズから(プラットフォームではなく)「庭」へ
#11 戦争と一人の女、疫病と一人の男
#12 弱い自立
#13 「消費」から「制作」へ
#14 「庭の条件」から「人間の条件」へ


今や言うまでもなく、われわれの生活に欠かせないインフラであるインターネット、特にSNSなどのプラットフォーム上でのコミュニケーションは、社会に資するものだろうか。エビデンスのない偏った、あるいは偽りの情報や言説が行き交う場でありながら、社会に大きな影響を及ぼしているのではないか。

本書は、言説の画一化を進め、格差拡大や分断にもつながる、ネット上のプラットフォームに代わるものとして、「庭」を提言。国内外の思想や哲学議論を検証しつつ、「人間」同士の相互評価の場であるプラットフォームに対し、「人間外」の事物が存在して生態系をなし、人間が影響を及ぼせるも支配することはかなわない「庭」の可能性を詳細に論じている。なお、ダイジェストでは広範にわたる議論の一部を取り上げた。著者は雑誌〈PLANETS〉編集長。立教大学社会学部兼任講師も務める。『リトル・ピープルの時代』『遅いインターネット』(ともに幻冬舎)など著書多数。