新書・文庫
発刊 2024.12
戦後初の金融機関破綻に際し日銀はどう動いたか
『バブルの後始末』
銀行破綻と預金保護
和田 哲郎 著 | 筑摩書房(ちくま新書) | 224p | 968円(税込)
Contents

1.金融危機が生んだ経済の断層――97年~98年の日本の経験
2.公的資金、預金保険の資金援助始まる
3.バブル経済の崩壊
4.金融危機
5.ようやく完成した金融システム安定化策
6.遅すぎた特効薬「公的資金」
7.公的出資はなぜ遅れたか

Introduction
「失われた30年」と呼ばれる日本経済の低迷について、直接的な原因とされるのが1991年以降のバブル崩壊だ。当時、前例のない金融危機に対応するため、新銀行の設立、資本注入、不良債権の分離など新たなスキームが次々と導入された。振り返って、導き出される課題や教訓とは何だろうか。
本書は、バブル崩壊の最中に日本銀行という「渦中」にいた著者が、金融機関の破綻処理の手法、公的資金の投入方法、また危機対応の考え方や教訓をまとめている。戦後初の金融機関の破綻においては、大蔵省(現財務省)と日本銀行との間に考え方の差があったとする。また、東京協和信用組合と安全信用組合の「二信組」処理において導入された受皿銀行方式のスキームや、自主廃業した山一證券に、よりよい選択はなかったのかなどについても考察している。著者は、トータルアセットデザイン顧問。1978年4月日本銀行入行、91年信用機構局調査役、金融機関の破綻処理に明け暮れた。2010年から野村総合研究所未来創発センター主席研究員。いちよし経済研究所アドバイザーを経て現職。