

AI、核融合発電、創薬・医療革命、気候変動対策、宇宙開発など、さまざまな分野でテクノロジーによる課題解決の取り組みが進められている。それらの中には最高速の(デジタル式の)スーパーコンピュータをもってしても解決が困難なものも多い。だが、それらを一気にクリアする技術が現れた。量子コンピュータである。

本書では、物理学の世界的権威である著者が、量子コンピュータについて、開発競争の現状、人類の未来を切り拓くその豊かな可能性について、わかりやすく詳説している。特定のタスクの処理において従来のデジタル式スーパーコンピュータの性能を明確にしのぐ段階を「量子超越性」と呼び、すでに2019年にグーグルが開発した量子コンピュータ「シカモア」が到達している。その後、さまざまな方式による開発で各国、各企業がしのぎを削っている。著者はニューヨーク市立大学理論物理学教授。「ひもの場の理論」の創始者の一人であり、量子論の研究に生涯を捧げてきたという。ベストセラーを含む多数の著書がある。