
ビールの生産量を一気に拡大した「ボトル革命」
『注ぎたてドイツビールで乾杯!』
ドイツ最大州NRWのビール醸造史
Frisch gezapft!: Bier-Kultur in Nordrhein-Westfalen
Ulrich Biene 著
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Klartext Verlag
| 160p


序.おいしさへの共感
1.ドイツ醸造所の心臓
2.追い風を受けてヨーロッパNo.1のビール都市へ
3.これまで長い間、ライン地方とベルギッシュ・ラント地方だけが好調だった
4.戦後、NRW州の醸造業は雇用製造マシーンとなる
5.ザウアーランドの個人醸造所が市場を制覇する
6.市場の集中は多くの小規模醸造所を巻き込む
7.アルトとケルシュを愛飲する陽気なライン地方の人々
8.とりわけ中小企業がビール市場の成長に貢献している
9.トラックのカーラッピングやネオン看板による広告からテレビCMまで


ドイツ最大の人口を擁し、ドイツ経済を牽引する重要州として知られるノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州。とくに製造業の歴史的な基盤を有するが、著名なドイツビール醸造所が複数存在し、ドイツのビール産業の発展を支えた土地でもある。NRW州におけるビール文化はどのようにして育っていったのか。

ドイツで刊行された未邦訳の本書では、NRW州において、伝統的に地域に根づいた産業であったビール醸造の歴史とその変遷を辿っている。第二次世界大戦後のドイツにおける「経済の奇跡」と呼ばれた復興と歩調を合わせるように発展してきたビール産業。従来の樽売り中心から、ボトルビールによる小売中心へ、さらにボトルの標準化やケースの軽量化などによる生産効率の上昇とともに、合併により大規模な醸造所が発展していくことになる。著者のウルリッヒ・ビーネ氏は、ジャーナリスト出身で長年にわたり、戦後史やドイツの「経済の奇跡」について研究、執筆している。