

養老孟司氏の代表作でもある、2003年4月に発売された『バカの壁』は空前のベストセラーとなり、その後も『死の壁』『「自分」の壁』など6作品が「壁」シリーズとして刊行されてきた。現代人が直面する課題に独自の視点で迫る同シリーズ。養老氏自身が「壁」シリーズとしては「そろそろお終い」とする最新作が『人生の壁』である。

本書では、87歳になる現在も健筆をふるい続ける解剖学者の養老孟司氏が、幼少期、青年期といった人生のさまざまな時期における問題、日本社会や世界の現状などについて、自身の経験を振り返りつつ、本質的な問題を考察している。子どもの頃から山で虫採りに夢中になる傍ら読書に親しみ、「自然は嘘をつかない」と「確実さ」を求めて解剖学を志した養老氏ならではの視点の先には、常に「自然とのつながり」があるようだ。著者の養老氏は、東京大学名誉教授。1989年『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』をはじめとして、ベストセラーを含む多数の著書がある。