
東南アジアの海を支配してきた少数民族バジャウ
『東南アジアの「海の遊牧民」』
Sea Nomads of Southeast Asia: From the Past to the Present
Bérénice Bellina
/
Roger Blench
/
Jean-Christophe Galipaud
著
|
National University of Singapore Press
| 400p


1.海の遊牧民
2.海洋世界における実践共同体
3.更新世後期から完新世中期の東南アジア島嶼における海洋交流ネットワーク
4.東南アジア初期海上シルクロード交易の後背地とクラ地峡の海の遊牧民たち
5.オラン・スク・ラウト
6.海の遊牧民の言語的背景
7.遺伝子の視点からみたインドネシアにおけるバジャウ族海洋遊牧民の起源と分散
8.初期の南シナ海における船の建造と航行
9.「王国の筋肉と筋」
10.歴史の狭間に生きる遊牧民たち
11.アンダマン海の海洋適応住民の生計戦略の根底にある「回復力」
12.海の民、沿岸領土、文化的相互作用
13.バジャウ・ディアスポラ
14.海洋ディアスポラとクレオール化


東南アジアの海岸沿いや島嶼地域で独自の生活様式を維持する「海の遊牧民」がいる。現在は少数民族と位置づけられているが、貴重な海産物を調達し、貿易を促進し、定住民と複雑な関係を構築しながら、同地域に勃興した諸国が富を築き上げるのに重要な役割を果たしてきたという。どのような民族なのだろうか。

シンガポール国立大学の出版部門から刊行された未邦訳の本書では、これまで知られていなかった海の遊牧民(Sea Nomads)の歴史や考古学的発見を解説する。文字による記録や遺物が少なかったため研究が遅れていたが、近年は言語学、民俗学、遺伝学などによる学際的な研究が進み、海洋遊牧民の多様性や柔軟性がわかってきた。例えば代表的な海の遊牧民であるバジャウ族は時の王国に仕えながら、大きな権力と地位を得ていたようだ。編者のベレニス・ベリナ氏は人類学的手法を用いる考古学者。ロジャー・ブレンチ氏は言語学者、人類学者、民族音楽学者。ジャン=クリストフ・ガリポー氏は、太平洋諸島考古学と海洋考古学を専門とする考古学者。