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発刊 イギリス 2024.10
ブレグジット支持者を後押しした報道手法とは
『「タブロイド紙」は英国の歴史の中で何をしたか』
The Newsmongers: A History of Tabloid Journalism
Contents

1 「奇怪な出来事」
2 メディア王の出現
3 「奥様に一部お取置きを」
4 売春婦の特権
5 「ザ・サン」の興隆
6 「Gotcha(やったぞ)」
7 「デーリー・マックスウェル」
8 3つの見出し
9 暗黒時代
10 黒魔術
11 レブソン
12 チャーナリズム2.0
13 3つのイグジット(退出)と3つの訴訟
結論 タブロイド惑星の現状

Introduction
根拠の薄い噂話や陰謀論など、センセーショナルな、時に下世話な内容を強調し報道する「タブロイド紙」。セレブを追いかけプライバシーを侵害するのは言うに及ばず、ゴシップ記事のためには電話の盗聴さえもいとわない。英国では、こうしたタブロイド紙が民衆の意識、そして政治に与える影響が小さくない。
英国で刊行された未邦訳の本書では、16世紀にニュースを求める大衆のために生まれた英国のタブロイド紙の歴史を紐解きながら、タブロイド業界や報道姿勢をめぐる舞台裏を紹介する。ゴシップで大衆の歓心を買いながら成長してきたタブロイド紙は、2016年のブレグジット論争においても反欧州の論調で世論に関与した。「デイリー・メール」「デイリー・エクスプレス」「ザ・サン」といった複数のタブロイド紙が、離脱派を後押しする過激な報道を行ったという。著者のテリー・カービー氏はフリージャーナリスト、ロンドン大学ゴールドスミス校の上級講師。日刊高級紙「インディペンデント」の創立メンバーであり、ジャーナリストとしての経験は40年以上ある。