
日本企業が米廃棄物収集会社に学んだ「合理性」
『ごみ収集の知られざる世界』
藤井 誠一郎 著
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筑摩書房(ちくま新書)
| 240p
| 968円(税込)


1.「あなたが出したごみがどうなるか」知ってますか
2.ごみ収集にかかわる仕事はいろいろありすぎる
3.ごみと地域は表裏一体
4.一緒に考えるごみと持続可能性
5.これからのごみの話をしよう


家庭や勤務先、駅、商業施設などで何気なく捨てる「ごみ」。それらがどう集められ、処理されているのか説明できるだろうか。とくに、各家庭が集積所に出す「家庭ごみ」ではなく、事業者から排出される「事業系ごみ」については、その課題を含めてあまり知られていない。最新事情はどうなっているのだろうか。

本書は、清掃事業の全体像から、ごみ収集作業の実態、ごみの減量、リサイクル、現場で進められているDXなど、ごみに関する多くのトピックを網羅して紹介している。日本では、各事業者は排出した事業系廃棄物を、契約した廃棄物収集業者に収集してもらう。したがって、収集業者は、広域に点在する事業者を個別に訪問して収集する形となり非効率だという。対策として、事業者同士の連携収集のほか、AIを活用した最適なルートの作成、RFIDタグを使ったデータ収集などDX化も進められているようだ。著者は、立教大学コミュニティ福祉学部准教授。博士(政策科学)。同志社大学総合政策科学研究科嘱託講師、大東文化大学法学部准教授などを経て現職。専門は地方自治、行政学、行政苦情救済。著書に『ごみ収集という仕事』(コモンズ)などがある。