

論理的思考の基本として「演繹法」と「帰納法」を対にして覚えている人は少なくないはずだ。両者に優劣はなく、時と場合に応じて使い分けるべきものだ。しかしながら、抽象度の高い原理や法則を導き出す帰納法の方に、より高尚なイメージを持つ人もいるだろう。実は演繹法が、不確実な時代にはマッチしているという。

本書では、成功した前例をもとに「改善」をしていく帰納的な新事業・商品開発などを「帰納思考」、その反対に、事実や自らの信念、思いつきなどを、過去の経験や培われた知識などを掛け合わせて仮説コンセプトをたて、それを検証していくプロセスを「演繹思考」と呼び、後者を中心に詳しく解説している。二つの思考法は、「失敗」や「優秀」といった概念の捉え方、「意思決定」などにおいて大きく違う。例えば、失敗については、帰納思考では「あってはならないもの」だが、演繹思考では、「仮説の間違い」を示すもので、はじめから想定された価値創造プロセスなのだという。著者はベンチャーキャピタリスト(VC)、先進VC支援、新事業創造アドバイザー。シリコンバレーに本拠を置くNSV Wolf Capital共同代表パートナー。小西六写真工業(現コニカミノルタ)、ボストン・コンサルティング・グループを経てシリコンバレーに渡りVCとして活躍。