都市をめぐる問題や、都市のあり方についての議論は、人口増減、産業構造の変化などに伴い時代とともに移り変わってきた。都市の整備や規制に係る法体系である「都市法」もまた、それに応じて修正される必要があるだろう。人口減少により「都市の縮退」に直面する日本の都市法はどのような役割を果たすべきか。
本書では、都市法の成り立ち・特色・将来像を概観したうえで、都市法の基本手法たる都市計画・開発(建築)規制・都市計画事業に始まり、景観保護・都市再生・都市防災といった現代都市法の主要テーマまでを、法律にあまり馴染みのない一般読者にもわかりやすく、かつ詳細に解説。わが国の都市はいま「縮退の時代」を迎えており、これまでのような土地利用規制を中心にした「拡大」制御の手法によるだけでは立ち行かなくなっている。このため近年では、都市再生に関わる「協議・協定」や、コンパクトシティ構想に立って都市構造の再編を目指す「立地適正化計画」などが、法制化されるようになってきた。それに鑑み本書では、「自治体による都市行政」や「公私協働によるまちづくり」に役立つ法律知識も提供している。著者は、青山学院大学名誉教授。1982年京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得済退学。青山学院大学法学部教授、同大学大学院法務研究科(法科大学院)教授を務めた。