深く広い視点を学べる科目「人生観の知識」とは
『フィンランドの高校生が学んでいる人生を変える教養』
岩竹 美加子 著
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青春出版社(青春新書インテリジェンス)
| 320p
| 1,408円(税込)
1.フィンランドの子どもたちは「いかに学ぶか」を学ぶ
2.視点と行動を変える「人生観の知識」という科目
3.「きまり」を教える日本、「本質」を教えるフィンランド
日本では2015年に小中学校で「道徳」の教科化が決まったが、世界では「宗教」「倫理」などのクラスがこれにあたるという。フィンランドの場合、様々な理由から「宗教」のクラスを選ばない子ども向けに「人生観の知識」のクラスが用意され、分野横断的なアプローチで多様な視点を提供しているようだ。
本書は、フィンランドで子育てを経験した同国在住の著者が、「人生観の知識」のクラスの内容を詳述している。小学校から高校まで選択できる科目である「人生観の知識」では、「私とは誰か」「良い人生とは何か」などの深い問いについて、自分の答えを探すための視点を提供している。対話を重視し、幅広く批判的な思考を持つあり方が提示されているようだ。なお、本書で引用されるのはフィンランドのステュデオ社が出している高校の教材「人生観の知識1 私と良い人生」「人生観の知識2 私と社会」(いずれもオンライン教科書)。著者はヘルシンキ大学非常勤教授。1955年東京都生まれ。明治大学文学部史学地理学科卒業後、会社勤務を経て渡米。ペンシルヴァニア大学大学院民俗学部博士課程修了。早稲田大学客員准教授、ヘルシンキ大学教授等を経て現職。