日本は紛れもなく地震大国であり、現在も南海トラフ巨大地震などのリスクが警告されている。だが、以前よりは進歩しているものの、地震が起きる時期や規模を、十分に避難が可能な精度で予知するまでには至っていない。また大地震の「二次災害」としての液状化現象や火災についても原因究明は道半ばだ。
本書では、これまであまり注目されてこなかった「地下ガス」挙動の観点から科学的に地震予知の可能性を探るとともに、地震後の二次災害対策への活用を提言している。「地震」そのものだけでなく地震発生とその前後に起きる関連現象を「地震現象」とし、それを「地盤の揺れと地下ガス挙動等によって生じる関連現象」と定義して、過去の大地震の記録、関係者の証言などから検証。揺れが収束した後の液状化現象や火災、自然環境や動物の前兆現象などは、いずれも地下ガスの噴出が関係しているという。著者は、ゼネコンに在職中、液状化対策関連工事を含む地下工事の計画・設計・施工等に関わり、多くのプロジェクトに、シビルエンジニアとして参画。2013年に退職する以前から、長年の懸案であった「地下ガスの挙動」の解明に着手。