2022年の調査によると、日本では、20~60代男女の86%がクレジットカード、75%が電子マネー、70%がQRコード決済を保有している。これらはいずれも現金を使わない「キャッシュレス決済」だが、その普及をさらに加速させ、デジタル経済に対応すべく、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入が検証段階に入っている。
本書では、CBDCの基本知識、日本と海外の最新動向、解決すべき課題などについて平易な言葉でわかりやすく解説している。「デジタル円」となるであろう日本のCBDCは、発行形態、導入時期などいずれも検討中。海外では、途上国で導入例があるが、実際にはほとんど使われていない。主要国の中では中国のデジタル人民元が、国際通貨も視野に、実取引を伴うパイロット実験を開始しており、一歩抜きん出ているようだ。著者は政策ストラテジスト。1989年日本銀行入行、国際決済銀行(BIS)で決済分野の国際基準の策定を主導。金融機構局国際担当総括でバーゼル3交渉の責任者。2010年国際通貨基金(IMF)日本代表理事代理。帰国後、企画局審議役(国際関係統括)などを経て、2024年4月から立教大学経済学部特任教授、経済と金融の未来デザイン代表。