
「化石燃料依存」をやめられない一因は「素材」
『世界の本当の仕組み』
エネルギー、食料、材料、グローバル化、リスク、環境、そして未来
How the World Really Works(2022)
バーツラフ・シュミル 著
| 柴田 裕之 訳
|
草思社
| 448p
| 2,860円(税込)


1.エネルギーを理解する――燃料と電気
2.食料生産を理解する――化石燃料を食べる
3.素材の世界を理解する――現代文明の四本柱
4.グローバル化を理解する――エンジン、マイクロチップ、そしてその先にあるもの
5.リスクを理解する――ウイルスから食生活、さらには太陽フレアまで
6.環境を理解する――かけがえのない生物圏
7.未来を理解する――この世の終わり(アポカリプス)と特異点(シンギュラリティ)のはざまで
付録 数字を理解する――10のn乗


VUCAの時代を反映してか、さまざまな識者が未来予測や文明論を世に問うている。それらは大きく、危機を警告する悲観論と、テクノロジー進歩などによる希望を語る楽観論に分かれるようだ。エネルギーや環境変化を論じる「知の巨人」の一人、バーツラフ・シュミル氏は、そのどちらにも与せず未来を語っている。

本書では、人類の生存と繁栄の決定要因としてエネルギー、食料、材料、グローバル化、リスク、環境、未来という7項目を挙げ、それぞれを徹底的な数値思考により検証。解釈のバイアスを極力排した科学的な議論を展開している。ダイジェストで取り上げた「材料」のテーマでは、未来予測の文脈では取り上げられることが少ない4つの素材、セメント、鋼鉄、プラスティック、アンモニアの重要性や、現状と将来展望を論じる。著者はカナダのマニトバ大学特別栄誉教授。カナダ王立協会(科学・芸術アカデミー)フェロー。著書に『Invention and Innovation』(河出書房新社)、『エネルギーの人類史』(青土社)などがある。