

例えば日本にはコンビニエンスストアの店舗数が非常に多いなど、国や地域ごとに、小売流通の特徴は異なる。どのような業態がシェアを伸ばすかは、政策や経済状況、消費文化によって大きく異なる。欧州の中でも、低価格のハードディスカウント(HD)が広く普及するドイツと、フランスでは違いがあるようだ。

本書では、主にフランスの都市圏において「消費者への近接」を特徴とする4業態(中小小売業、マルシェ、HD、近隣型チェーン店)、および有機(bio)食品流通に焦点を当て、その勢力図の変遷や現状、将来性について考察している。フランスでは、かつて、カルフールに代表される大規模流通業による郊外型の大型店舗が隆盛を誇っていたが、やがてドイツからHDが進出しシェアを伸ばす。ところが2008年ごろから大規模流通業が都市型の小型店舗である「近隣型チェーン店」を相次いで出店し、発展を遂げることになる。著者は、大阪学院大学名誉教授、まちづくりデザイン研究所代表。吉備国際大学社会学部助教授、大阪学院大学流通科学部教授、大阪学院大学商学部教授を経て2023年から現職。