映画編集者の使命は監督に「選択肢」を与える事
『映画の切り札 ハリウッド映画編集の流儀』
上綱 麻子 著
|
星海社(星海社新書)
| 336p
| 1,595円(税込)
1.映画の黒幕はインビジブル
2.映画編集の知られざる魔術
3.映画が映し出すものの正体
映画製作を成り立たせる重要な要素として「映画編集者」の存在がある。映像素材を切り、繋げるほか、脚本に意見を述べたり、効果音を調整したりと広範な仕事で作品のポテンシャルや完成度を高めていく。米国では「インビジブル・アート(隠れた芸術)」と呼ばれる映画編集だが、その骨法とはどのようなものか。
本書では、ハリウッド映画界で活躍する現役の日本人編集者である著者が、直近の仕事の様子を描きつつ、これまでに培ってきた映画編集の技法や哲学、編集者としての姿勢を伝えている。映画製作においては「監督」が絶対的な権力を握っていると思いがちだが、より良い作品を生み出すためには編集者と監督とが切磋琢磨することが大切であり、編集者は監督へ「選択肢」を与えるために編集にのぞむのだという。著者は映画編集・監督。テキサス州ヒューストン生まれ。16歳で故郷・広島を後に単身渡米。第90回アカデミー賞4部門にノミネートされたディー・リース監督作品『マッドバウンド 悲しき友情』など、多数の映画及び映像作品の編集に携わる。映画芸術科学アカデミー会員。