学生時代の期末レポートや卒業論文、さらに社会人になって書く提案書まで、文書を書いた経験のある人は多いだろう。それらの執筆には、才能やセンスが必要だと感じるかもしれない。しかし、体系的に学べば、誰でも一定のクオリティまで到達できるのではないだろうか。少なくとも論文はそうであるようだ。
本書は、学問にかかわるすべての文章を対象とした「アカデミック・ライティング」について、初学者が独力で書けるようになること、また中級以上の人がよりスピーディかつシステマティックに書けるようになることを目指し、その手法を徹底的に要素分解して解説する。著者は論文を、「ある主張を提示し、その主張が正しいことを論証する文章である」とし、その書き方について、大学教育がうまくカリキュラム化できていないと指摘。論文には「アーギュメント」が必要であるという本質を突きつつ、個々の論文は小さなものであっても「世界と接続」されたものであるべきだと述べる。著者は筑波大学人文社会系助教。専門は日米文化史。2023年に米国で博士号を取得(PhD in Comparative Literature)。研究コンサルティングのベンチャー、アルス・アカデミカ代表。