書籍
発刊 2024.06
過去の成功体験が企業変革で悪にならない理由
『企業変革のジレンマ』
「構造的無能化」はなぜ起きるのか
宇田川 元一 著 | 日本経済新聞出版 | 292p | 2,420円(税込)
Contents

序.企業変革のジレンマにどう挑むか
1.あなたの会社で今、起きていること
2.企業変革に必要な4つのプロセス
3.構造的無能化はなぜ起きるのか──組織の機能不全のメカニズムを読み解く
4.企業変革に必要な3つの論点
5.「わからない」壁を乗り越える──組織の「多義性」を理解する
6.「進まない」壁を乗り越える──組織の「複雑性」に挑む
7.「変わらない」壁を乗り越える──組織の「自発性」を育む
8.企業変革を推進し、支援する

Introduction
多くの日本企業が、イノベーションや新規事業開発の必要性を理解しつつもなかなか実行に至らない悩みを抱えているのではないだろうか。経営危機に直面しているわけではないが、業績が頭打ちで何かしらの変革が求められる。そんな時に実行を阻むものとして、組織文化や慣行の中に「ジレンマ」があるようだ。
本書では、デビュー作『他者と働く』(NewsPicksパブリッシング)で注目を集めた経営学者が、企業の緩やかな衰退過程に挑む長期的な取り組みとしての「企業変革」を、その本質と具体的な戦略と手法を明らかにしながら論じている。著者は、組織が考えたり、実行したりする能力や環境適応能力を失っている状態を「構造的無能化」と名づけ、それを変えていくために、「多義性」「複雑性」「自発性」という3つの問題を乗り越える必要があるとし、そのための一案として、これまでの成功体験を再考することを提案している。著者は埼玉大学経済経営系大学院准教授。専門は経営戦略論、組織論で、対話を基盤とした企業変革について研究を行っている。また、大手企業やスタートアップ企業における企業変革やイノベーションの推進に関するアドバイザーとして、その変革を支援している。